LCW
Plywood Chair
LCW プライウッドチェア

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特別なチェア

モダンデザインを愛する人にとって、これほど特別な意味を持つチェアはありません。今回、写真撮影のために、久々に、しっかりとLCWと向かい合いましたが、心地よい緊張感と高揚感を感じずにはいられませんでした。このチェアは、それほど特別な存在です。高価なチェアというわけではありませんが、所有する満足感は他に代えがたい魅力です。品格のある美しさ、時を経ても色褪せない魅力、そして快適さを高次元で兼ね備えた、まさに特別な一脚です。

20世紀を代表する作品

1940年代初頭、イームズ夫妻は映画のセットを作る仕事のかたわら、木材を蒸気と圧力で成型する方法について試行錯誤をしていました。第二次戦時がはじまると、米海軍がこれに目をつけ夫妻に医療用の添え木や担架などの開発を依頼します。このときの資金と経験がイームズ夫妻にプライウッドの成型に関する豊富な技術の蓄積を与えました。終戦後はプライウッド成型の技術を生かした軽やかで現代的な家具をデザインし、20世紀を代表するデザイナーとして一躍有名になりました。そして、そのプライウッド家具の名作といえばこのLCW（Lounge Chair Wood-leg）をおいて他にありません。1946年にニューヨーク近代美術館で開かれた個展で最初のプロトタイプが公開されると大きな話題を呼びました。当初はEvans（エバンス社）が製造しHermanMillerが販売を行っていましたが、その3年後には、HermanMiller社が生産から販売までを一貫して行うようになり、現在まで続くロングセラー製品となっています。米『タイム』誌はこのチェアを、20世紀最高のデザイン（The Best Design of the 20th Century）に選出し、このデザインを「優雅で、軽やかで、快適。模倣品が多数出ているが、これを超えるものはない」と評しています。（ちなみに2位は蒸気機関車です）

機能的な構造

このチェアは5つのピースで構成されています。座面、背もたれ、前脚、後足、そして、それらをつなぐ背骨が、すべてプライウッドだけで作られています。それぞれのピースはネジやショックマウント（ゴム）で接合されていますが、特に背もたれと座面のショックマウントを介した接着は、当時画期的なものでした。この柔軟性を持たせた構造によって、座り心地と耐久性が飛躍的に向上しています。

進化し続ける名作

LCWには多くの模倣品が存在しますが、オリジナルのLCWの完成度の高さや存在感は別格で、誰が見ても一目瞭然です。選りすぐった美しい木目の突板や、パーツごとに専用開発されたプライウッドなど、どこを見てもすべてが特別なチェアです。そのうえ、製造時期が新しくなるにつれてますます仕上がりが洗練されてきており、今ではまるでCGかと思うほどの完璧な仕上がりに到達しています。それは10年前と比べても、まるで違う印象を持つほどです。

※ダイニング用のDCW(Dining Chair Wood-leg)と名前が似ているため混同されがちですがシートの高さ、幅、角度など全て違なるデザインです。LCM(Lounge Chair Metal-leg)は座面と背もたれ以外の部分を金属パイプに置き換えたものです。また、これらはいずれも弊店で販売が可能ですのでお気軽にお尋ねください。